1973(昭和48)年に放送された『ウルトラマンタロウ』。今なお絶大な人気を誇り、昨年(2019年)は息子の『タイガ』が登場するなど、第二期ウルトラシリーズの中でも随一の知名度を保持している。


 1973年は円谷プロ創立10周年。初の劇場用作品となる『怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス』をはじめ、『ファイヤーマン』(日本テレビ系)、『ジャンボーグA』(テレビ朝日(当時はNET)系)といった新作TVシリーズを製作、CMやTVドラマの制作も多数手掛けていた。そんな中、真打ちとして『タロウ』が製作されることになった。


 当初は「ウルトラジャック」というタイトルで企画され、ウルトラ兄弟設定を引き継いで「ウルトラ6番目の弟の物語」ということが決まっていた。また、宇宙怪獣の来襲やメカニック、エンターテインメントの充実もアピールポイントになっていた。


 2番目の企画書は「ウルトラマンスター」。キャスティングやメカニックが具体的に記された。そして3番目の企画書では「ウルトラマンジャック」とされ、「トランプのジャックに因み、11の強力な武器を持つウルトラマン」とされた。


 しかし、当時社会問題となっていたハイジャック事件(1970年よど号ハイジャック事件が有名)を想起させるネーミングだったため、却下となり、新たなネーミングが検討された。当時の円谷皐社長から「日本的な響きを持つ言葉にも目を向けてみたらどうか」という意見が出され、「ジャック」が西洋のおとぎ話によく出る名前であることから、日本の昔話によく出る「太郎」という名前が採用された。


 当時は和名の家電製品が流行していた時代でもあり、洋風の名前のヒーローが多い中で、和風の名前はかえって新鮮であるとされた。


 タロウのデザインは、前作『ウルトラマンエース』で特撮美術を担当した井口昭彦。歴代ウルトラマンの中で人気の高かったセブンのルックスに、ウルトラの父の角を加え、カラータイマーをつける、というアイデアでデザインされた。胸のプロテクターを肩で切れ上がった形状にすることで、腕の自由度を増し、ボディラインがより精悍に見えるようにするなどの改良も施されている。なお、デザイン画の段階では耳の後ろから後頭部にかけて段差が存在しているが、実際のスーツでは省かれている。

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cf.)「特撮のDNA」での展示はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/8019039.html

 開米プロの依頼を受けてマスク原型の造型を担当したのは照井栄。照井は「頭が大きいので170cm以上あるスーツアクターを起用してほしい」と熊谷健プロデューサーに打診。『ファイヤーマン』に扮していた西条満が同じ事務所で長身の長沢寛を推薦した。西条も一部の激しいアクションシーンでタロウに扮している。

cf.)前作『ウルトラマンエース』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5915827.html

cf.)次作『ウルトラマンレオ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5936832.html


[参考]
『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS
DVD『ウルトラマンタロウ』©1973円谷プロ
https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマンタロウ

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