『ウルトラマンエックス』(2015)第19話「共に生きる」もアベユーイチ監督入魂の1話だ。
「怪獣との共存」というシリーズのテーマに深く切り込んだ1話。アスナ役を演じた坂ノ上茜の演技も見逃せない。

 脚本は三浦有為子が担当。小林弘利が出していたM1号が人間を諭す内容のプロットを参考にした。

・M1号の目は『ウルトラQ』当時はスーツアクターの目がそのまま映っていたが、今回は円らな黒目をはめ、中に地球を映すカットもできた。

・オープンカットを繋げた印象的なエックス登場シーン。逆さまに落ちてきて着地する。

・相手がゴモラなので、後ろにかぶさり手を振り上げるが、本気の拳で叩けず、力ない平手になっているカット。大地とエックスの心情が伝わってくる。

・合成量を減らすために机の上のフラスコにエックスを入れるというアイデア。結果的に面白い構図の絵になった。

・炎バックのEXゴモラ。荒々しく凶暴さが表現されていてカッコいい。

・ゴモラが地面を叩き、衝撃でふっとぶアスナ。アスナは吹き替え。ワイヤーを使っているため、かなりのふっとび具合だ。

・アスナの台詞は最初はもっとあっさりだったが、アベ監督が「もっとクサくてもいいんじゃないの」とオーダーし、感情移入しやすい激情台詞となった。

・通常体に戻って正気に返り、「自分を撃ってくれ」と言わんばかりに両手を広げるゴモラ。冒頭の実験でも両手を広げており、繋がっている。心苦しくも撃つ決意をし、「ザナディウム・・・光線!」と叫ぶ大地。涙なしでは見られない名シーンとなった。

・M1号の声にはアベ監督がこだわり、キャスティングを依頼している。「私はカモメ」の台詞のくだりで、「私は・・・」はアベ監督が付け足した部分だが、「・・・」には「地球の代弁者」というワードが入る想定だった。一緒に浮遊している残骸は「いなずま号」の残骸だろうか。

・シリーズの肝になる話なので、ノイローゼになるほど悩み、プレッシャーがあったというアベ監督。アスナの演技に懸かっているため、坂ノ上茜を事前に呼び出して、アスナの演技の重要さを話したらしい。坂ノ上もそれに全身全霊で応え、涙とともに気持ちの入った素晴らしい演技を見せてくれた。


cf.)『ウルトラマンエックス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6227759.html

[参考]
You Tube 特爆!チャンネル 特撮は爆発だ! #129 緊急SP
https://www.youtube.com/watch?v=D-Z77SNLxUY
Blu-ray『ウルトラマンエックス』©2015円谷プロ
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