『ウルトラマンオーブ』第14話「暴走する正義」第15話「ネバー・セイ・ネバー」はアベユーイチ監督のギャラクトロン回。2回に分けて撮影裏話を紹介したい。

・アバンパート。シンのメイン回ということでシンのこれまでのシーンが出て来る。この回のために、アベ監督は第4話「真夏の空に火の用心」からシンの机の上にロボットの人形を置いた。また、第8話「都会の半魚人」でシンの夢の第1位に「スーパーロボットの開発」を入れている。もともとは入っていなかった台詞だが、この回のために脚本の小林弘利が入れた。このような伏線が物語に厚みを持たせている。

・コフネ製作所は実際の工場を借りて撮影している。その名も「コジマ製作所」。JAXAの小惑星探査機「はやぶさ」のバネを作った本物のバネ工場。バネ製作のカットも実際に作っているところを撮っている。怪獣を登場させなければいけないので、広い畑があったり、梅雨なので雨のときに広い室内の逃げ場があったり、という条件がピッタリの場所で、ロケハンで探すのが大変だったという。

・台本上はギャラクトロンとの戦闘中にバーンマイトとなってタックルするシーンがあるが、尺の関係と、かませ犬的な繋ぎ役になってしまうので省いたという。その代わり、焼きそばのシーンでバーンマイトの台詞をガイに言わせている。ブルース・リー風にノリノリで焼きそばを焼くガイ。

・脚本を書いた林壮太郎が社員の田丸役としてキャッチャー中澤を推し、キャスティングに繋がったという。ガイに負けずに田丸が焼きそばを食べるシーンがあったがカットされている。因みに、準備稿の段階で「焼きそばシーンが長すぎる」と鶴田プロデューサーに突っ込まれた。『オーブ』は隊員ものではないので、「食」のシーンが多く、「消えものが多くて予算が圧迫される」と言われていた。

・キャッチャー中澤はテストも含めて焼きそば紙皿4枚分、焼きそばパン5個位食べたらしい。観ていて気持ちのいい食いっぷりだ。

・ギャラクトロンは「ギャラクシードラゴン」と「サルバトロン」の折衷案だが、「サルバトロン」の由来は、脚本を書いていた林壮太郎が、「~トロン」の名前を探してキャッチャー中澤に相談し、中澤が提案した案の中に「サルバトロン」があったことによる。また、ギャラクトロンは頭が画面から切れているが、これは画角に全て収めるよりも、この方が大きく見えるから。『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』で、ゼロがランたちを助けるシーンにも使われており、そのとき気付いた技法という(ホリゾントがそこまでなかったのもある)。

・ライトを設置するガイのシーン。ガイが小舟社長を呼ぶところで「隊長!」と呼ぶNGがあったそうだ。結局、映像では「師匠!」と呼んでいる。焼きそばの師匠という意味で言ったのだろう。第15話で小舟社長が電球の話をするので、そこに関連付けているシーン。

・ナオミのコードぐるぐる事件。「やめませんか」という声もあったが、監督・脚本家そろって大反対して決行したという。

・回転台を使ったカットは4時間掛かった。グリーンバックの回転台から、石膏ビルのセットに突っ込むという難易度の高いカットだった。

その2(http://ultra-7.blog.jp/archives/6013841.html)に続く。

cf.)『ウルトラマンオーブ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6231535.html


[参考]
Blu-ray『ウルトラマンオーブ』©2016円谷プロ
You Tube 特爆!チャンネル 特撮は爆発だ! #172
https://www.youtube.com/watch?v=sA9zSMvXx-0
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