『ウルトラマンオーブ』第14話「暴走する正義」第15話「ネバー・セイ・ネバー」より、撮影裏話その2。

・右側のビルからもくもくと下に落ちる煙の輪。オーブのモチーフに輪が入っているだけに、嬉しい偶然。

・ギャラクトロンを市街地から平地に移動させるオーブ。メタフィールドはないけど人々から危険をなるべく遠ざけようとするところが、『ネクサス』のメイン監督だったアベ監督らしい計らいでもある。

・ギャラクトロンのデザインは野中剛が担当。アベ監督からのオーダーは「ヒロイックであり、異世界から来た感じもあり、白くて、ラストでは体の色々な箇所がもがれて、汚れる」。イメージとしては漫画『ぼくらの』に出てくるジアースや『聖戦士ダンバイン』、そして竜。アベ監督がデザイン画に色々と注文を付けて改善してもらったという。後頭部から伸びる尾(?)がさらにジョイント解放で伸びるのはこのようにオーブを捕らえるカットのため。登場カットは撮影順的に後になってしまったので、バトルシーンを先に撮影し、泥だらけになったのを拭き上げて綺麗にしてから登場カットを撮った。


・ギャラクトロンが地平を焼き払うシーンがあるが、当初は富士山を破壊する案もあった。サンダーブレスターのインパクトと平衡を保つための演出。

・また、「ロボットと言えばロケットパンチ」というロマンを盛り込み、さらに遠隔操作からのビームという芸当まで演出した。だがサンダーブレスターの前では無力に終わる。玩具のような扱いだった。


・我に還って消滅するサンダーブレスター。第1話「夕陽の風来坊」の冒頭カットを想起させる絵作りとなっている。因みに、サンダーブレスターの声も全て石黒英雄がアフレコしている。

・なぜか医者役としてカメラマンの髙橋創が出演。茶髪の医者って。

・この第15話の脚本は小林弘利。自らの無力さに打ちひしがれ、ギャラクトロンの論理に傾きかけるシンに対し、優しく語りかける小舟社長。ライオン、シマウマ、草を使って食物連鎖を簡単に表し、地球がまるごとひとつの命であると説く名シーン。第14話で焼きそばを食べるシーンが出てくるのは、この食物連鎖の話と関連性を持たせるため(また、後半がシリアスな展開なので、前半に楽しいシーンを、という意図や、第12話が少しハードだったからという理由もある)。

・この後、病室で「闇を抱きしめて電球のように光る」という主旨の名台詞があり、これがサンダーブレスターをコントロールするためのヒントとなる。『ダイナ』でヒビキ隊長を演じた木之元亮の渋みのある声で聴くと、説得力が半端ない。

・因みに、シリーズ構成の中野貴雄によると、公式ではない裏設定として、SSPの事務所の大家さんは小舟社長の奥さんである、らしい。

・当初はガイの手からナオミに光のエネルギーが注入される描写があったが、この演技を観たアベ監督が、人間ドラマに終始させた。涙を流さず溜めたままの演技が、神業だったとアベ監督が絶賛している。さすが石黒英雄だ。

・小林弘利は第5話「逃げない心」でナオミに「あなた逃げるの得意でしょ」と言わせているが、これはこの第15話でガイが逃げることに繋げるため。

オーブオリジンへの足掛かり回。監督と脚本家の拘りが詰まった、素晴らしい出来映えとなった。

cf.)撮影裏話その1はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6013826.html
cf.)『ウルトラマンオーブ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6231535.html

[参考]
Blu-ray『ウルトラマンオーブ』©2016円谷プロ
『ウルトラマンオーブ 完全超全集』編著:てれびくん編集部 出版:小学館

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https://www.youtube.com/watch?v=sA9zSMvXx-0
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