1980(昭和55)年に放送された『ウルトラマン80』は、『レオ』(1974)の放送終了となった1975年以降、ファンの間で燻っていた実写ウルトラマンへの渇望や関連商品の売り上げ好調が後押しとなった待望の新企画。主人公・矢的猛(=ウルトラマン80)は中学校教師であり、同時に防衛隊UGMに所属する隊員でもある。

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 当初から、「ウルトラマン先生」という基本方針が出されていたが、主人公が防衛隊の隊員と、それ以外の仕事を兼任するという発想は、『タロウ』(1973)や『レオ』(1974)でも模索されていた。それまでのシリーズでは、「主人公が隊員であるために、活動の範囲を制限してしまっているのではないか?」という意見があり、紆余曲折の末、主人公の職業が教師となった。これには、当時の人気番組『3年B組金八先生』(TBS系)の影響も大きい。

 初期の企画書では、小学校の熱血教師が、荒んだ心の子どもたちにウルトラマンの慈愛の精神を説き、それを見たウルトラ兄弟が彼にウルトラの命を与えるという内容で、防衛チームへの参加は未定だった。

 第二の企画書では、防衛隊UGMの設定が追加されるが、教師である主人公と同じアパートに住むUGM隊員がライバルという設定であった。その後、さらに検討が加えられ、舞台を中学校へ変更。1980年代をイメージさせる『ウルトラマン80』の名で正式決定した。

 企画意図として、児童の殺人や自殺といった暗い世相に対し、生命の尊さ、愛の美しさ、勇気の誇らしさ、といったヒューマニズムを掲げ、怪獣出現の原因を地球人の悲しみ・憎しみといった負の感情(マイナスエネルギー)と設定。ウルトラマンとして、また、教師として、人々にヒューマニズムを取り戻そうとした。しかしながら、撮影開始後も教師設定への議論は続き、撮影スケジュールの都合により、途中から中学校は登場しなくなってしまう。(後にその理由付けとして、絶え間ない怪獣出現により2足の草鞋が不可能になったことが『メビウス』(2006)第41話で語られる)

 特撮面では『スター・ウォーズ』(1977)や『未知との遭遇』(1977)の影響も見られ、合成においても、従来のリアプロジェクションよりも画質が鮮明なフロントプロジェクションを多用しており、コストを低減させながらも、映像技術を向上させている。


 80のデザインは山口修が担当。シリーズを追うごとに装飾過多になっていた傾向を改め、原点回帰が図られた。人間っぽさを表現するために鼻梁が設けられ、トサカ部分が赤く塗られた。手足の赤ラインを手袋とブーツにデザインとして閉合したことで、従来の「いかにも手袋、ブーツを着用している」感を軽減している。また、腕とブーツのファスナーも上からテープを貼って塗装し目立たないように配慮されている。造型は開米プロダクション。のぞき穴や口の呼吸スリットが目立たないよう工夫されており、マスクが後頭部まで作られ、前後分割式となったことで、後頭部のウエットスーツ地を隠すことに成功した。ファスナーもプラ製となり目立たなくなったため、隠すための背ビレの排除が可能となった。

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 因みに、変身シーンで拳を突き上げたポーズのミニチュアは、同じポーズのタロウの3尺模型を改造したものである。

 CGがない頃の特撮技術の最高峰と名高い『80』。2020年は40周年となるため、『ゼット』への客演、または、80怪獣の新造形なども考えられる。

[参考]
『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS
DVD『ウルトラマン80』©1980円谷プロ
https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマン80
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