数々のウルトラシリーズに出演した名脇役である俳優・加藤茂雄が慢性腎不全のため2020年6月14日、亡くなった。享年94歳。

 神奈川県鎌倉市長谷出身。東宝の俳優として数々の映画に出演した。1972年に東宝と契約解消してからは、鎌倉由比ヶ浜で漁師を営みながら、テレビドラマや舞台を中心に活動した。

 ゴジラシリーズにも多く出演しているが、ウルトラシリーズにも『Q』から『ティガ』まで、多くの出演歴がある。その足跡を辿ってみたい。

・『ウルトラQ』(1966)第3話「宇宙からの贈り物」では大蔵島の駐在役。洞穴に入ろうとする万城目一行を心配する。一平に拳銃を貸してくれと頼まれた。

・『ウルトラQ』(1966)第8話「甘い蜜の恐怖」では市長らに抗議する村人役。麦わら帽が似合っていた。

・『ウルトラマン』(1966)第3話「科特隊出撃せよ」では第三火力発電所職員役。ネロンガに発電所を破壊され、ムラマツ隊長に発電所の破壊状況を伝えている。

cf.)『ウルトラマン』第3話についてはこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6427686.html

・『ウルトラマン』(1966)第6話「沿岸警備命令」では神奈川県警巡査役。警官帽がよく似合っている。

・『ウルトラマン』(1966)第32話「果てしなき逆襲」では宮の森土地開発工事現場作業員役。三人並んだヘルメットの作業員のうち、一番右の人物。

・『ウルトラセブン』(1967)第1話「姿なき挑戦者」では神奈川県警警邏隊パトカー巡査役。ダンの忠告を聞かずにパトカーを走らせ、円盤にやられてしまう。

・『ウルトラセブン』(1967)第5話「消された時間」では地球防衛軍の長遠距離レーダー室職員役。ヴィラ星人に操られたユシマ博士によって取り付けられた偽ダイオードによりレーダーが故障し、その被害をキリヤマ長官に報告。「言い訳はいい!」と怒られていた。

・『帰ってきたウルトラマン』(1971)第4話「必殺!流星キック」では第一原子力発電所職員役。岸田隊員の後ろでキングザウルス三世に恐れおののく。

・『ウルトラマンタロウ』(1973)第52話「ウルトラの命を盗め!」では作業員役。

・『ウルトラマンレオ』(1974)第49話「恐怖の円盤生物シリーズ!死を呼ぶ赤い暗殺者!」では酔っ払いのサラリーマン役。ノーバに憑りつかれ、なぜかベンチのようなものを空手チョップで叩き割る。

・『ウルトラマン80』(1980)第34話「ヘンテコリンな魚を釣ったぞ!」では老漁師役。アンゴーラスの子どもを欲しがる少年に危険な魚とは知らず与えてしまう。本職の漁師としての姿が見られる貴重なカット。

・『ウルトラマンティガ』(1996)第16話「よみがえる鬼神」では山田巡査部長役。宿那鬼(すくなおに)に恐れおののく。

・『ウルトラQ THE MOVIE 星の伝説』(1990)では農夫役。観光業者の話を煙たがり相手にしない。

・『ウルトラマンをつくった男たち 星の林に月の舟』(1989)では東宝特技撮影班のカメラマン役。カメラがとても似合っていた。

以上、昭和の有名どころは『ウルトラマンエース』(1972)以外、ほぼ制覇している。脇役で1シーンしか出なかったりするものの、毎回台詞があり、臨場感を掻き立てるためにはなくてはならない存在だった。警官役が最も多く、警官帽をかぶっている印象が強い。ウルトラの名脇役にこの人あり、である。

 今頃、ウルトラの星でも漁を楽しんでいるのだろうか。

cf.)『ウルトラマン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6642931.html

[参考]
https://ja.wikipedia.org/wiki/加藤茂雄
DVD『ウルトラQ』©1966円谷プロ
DVD『ウルトラマン』©1966円谷プロ
DVD『ウルトラセブン』©1967円谷プロ
DVD『帰ってきたウルトラマン』©1971円谷プロ
DVD『ウルトラマンタロウ』©1973円谷プロ
DVD『ウルトラマンレオ』©1974円谷プロ
DVD『ウルトラマン80』©1980円谷プロ
DVD『ウルトラマンティガ』©1996円谷プロ
DVD『ウルトラQ THE MOVIE 星の伝説』©1990松竹/セガ/東北新社/円谷映像
DVD『ウルトラマンをつくった男たち 星の林に月の舟』©1989オフィス・ヘンミ、木下プロ、円谷プロ、TBS
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