1994(平成6)年3月21日、『ウルトラセブン 太陽エネルギー作戦』が放送された。これは、昭和の『セブン』終了以来、26年振りに製作された。


 この作品は、もともと通商産業省(現・経済産業省)が推進していた「ソーラーシステム(太陽光発電)」のPR番組として、放送前年に読売広告社から円谷プロに持ち込まれた企画がもとになっている。その後、円谷プロで企画を検討するうち、太陽エネルギーはウルトラマンのエネルギー源なので、そこから『セブン』の新作を作る話にまで発展した。


 本作は、ウルトラシリーズでは初となるオールビデオでの撮影を採用。CG技術が発展途上だった当時、特撮をビデオで撮影することに不安の声もあったようだが、前年製作の『電光超人グリッドマン』で得たノウハウも積極的に活用され、見事な特撮に仕上がっている。これが結果的に往年のファンから喝采を浴び、第2弾の製作が決定した。

 第2弾『ウルトラセブン 地球星人の大地』では、旧作で主人公・モロボシ・ダンを演じた森次晃嗣が出演し、ファンを喜ばせた。

 その4年後となる1998(平成10)年、TVシリーズではないが、オリジナルビデオシリーズとして『1998 誕生30周年記念3部作』の製作が決定した。プロデューサーの円谷昌弘は『ムーンスパイラル』(1996)で知り合ったバップの近貞博に相談し、製作に漕ぎ着けたという。

 当初は、ガッツ星人をシリーズ共通の敵とした「ガッツ星人の新たなる野望」という企画案が、脚本家の右田昌万によってまとめられた。ガッツ星人の活躍は「地球より永遠に」のみに留まったが、企画段階での「カザモリ・シン」の登場は、「カザモリ・マサキ」の設定に引き継がれた。

 また、右田昌万は「第七宇宙の創造」というシノプシス(あらすじ)も手掛けており、こちらは「太陽の背信」の原案となっている。

 この3部作のテーマは「記憶」。「失われた記憶」ではダンの記憶、「地球より永遠に」では地球の記憶、「太陽の背信」では宇宙の記憶に焦点が置かれ、現代の深刻な「環境破壊」なども盛り込まれた。

 続く『ウルトラセブン 1999最終章・6部作』では、ティガ・ダイナ・ガイアの「平成3部作」に関わった武上純希が脚本とシリーズ構成を担当。旧作第42話「ノンマルトの使者」の後日談として、「地球の先住民であるノンマルトが、地球を侵略した地球人の罪を明らかにする」という重厚なテーマが根底にあり、質の高いSFドラマに仕上がっている。

 そして2002(平成14)年、『ウルトラセブン誕生35周年記念“EVOLUTION”5部作』で平成ウルトラセブンシリーズが完結することになる。バップの穂山賢一プロデューサーによると、今回はウルトラ警備隊にスポットを当て、タイトルも「ウルトラ警備隊」という企画案が浮上。しかし、やはりセブンが登場しないのはおかしいということになり、シリーズの中盤でセブンが復活するという設定となった。「アカシックレコード」というSF設定が採り入れられた本作も、味わい深い記念碑的作品となった。

 かくして、『平成ウルトラセブン』は約8年にわたって作られた上記16本の作品からなる。ダンからカザモリへ説得力ある物語として引き継がれたわけだが、令和となったいま、『令和ウルトラセブン』として復活することはあるのだろうか。もし復活したなら、カザモリからまた別の誰かへ引き継がれるのだろうか。

cf.)『ウルトラセブン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6375058.html

[参考]
『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS
DVD『ウルトラセブン 太陽エネルギー作戦』©1994円谷プロ
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